弊社では、Eテレの番組を数多く担当しております。その中で今日は、「ノージーのひらめき工房」のアシスタントディレクター萩原 綾香さんに、お仕事の内容や将来についてお話を伺いました。
―「ノージーのひらめき工房」。どんな番組ですか?
「ノージーのひらめき工房」は、子供たちに工作のやり方を教えるというよりも、工作のヒントを与えることで子供たち自身の「ひらめき」を促して、「つくることの楽しさ」を伝える工作番組です。 「ノージー」や「シナプー」といったキャラクターが登場して、子供たちと一緒に「ひらめき」を得たり、材料を工夫して使う様子を、番組全体で演出しています。
番組名にもある「ひらめき」の通り、子供たちが工作を通して、どうすれば自分の作りたいものが作れるのか。工作の結果よりもプロセスを重視しています。自由な発想を大切にするということが番組全体を通しての重要なテーマなんです。
―番組の中で、萩原さんはどんな役割を担っていますか?
現在は、メインADとして、番組制作の全ての工程に携わっています。 具体的には、制作のスケジュールを立てることから始まり、台本打ち合わせ、収録、編集、そして完成・納品まで、一連の作業全てに関わっています。 例えば、ディレクターが実際に台本を作成するのに対し、ADは、台本の修正や、その他細かな作業を全て行いながら、ディレクターのサポートをしています。 番組制作全体を把握し、ディレクターがスムーズに仕事を進められるよう、様々な業務を担うのがAD、ということですね。
―この業界に入って何年目でしたっけ?
3年目になります。 入社後すぐに「ノージーのひらめき工房」の制作チームに配属され、サブADとして働き始め、現在はメインADとして番組制作に携わっています。
― 子供たちと触れ合う機会はありますか?
「ノージーのひらめき工房」には、2つの制作会社が関わってます。キュリアスプロダクションでは、スタジオ制作だけでなく、実際に一般の家庭にロケに行って子供たちの工作の様子を取材をしたり、公開収録イベントで子供たちと触れ合う機会が多いです。 ADとして、番組が伝えたい「ひらめき」を子供たちが実際に表現してくれる姿を見ることができるのは、とても嬉しいです。 番組のメッセージが子供たちにしっかりと伝わっていることを実感する瞬間です。
―印象に残っているエピソードはありますか?
スタジオ収録中に、子役の「シナプー」役を演じていた子が、うまくいかずに泣いてしまったことがありました。 その日は、一般の子供たちとリモートで繋いでの収録だったのですが、リモートで参加していた子供の中にとても明るく元気な子がいて、その子の明るいテンションに引っ張られるように、「シナプー」役の子も笑顔になっていったんです。
子供がうまくいかずに泣いてしまった時、大人は、なだめたり、励ましたりすることが多いですが、時には、その場の空気に引っ張られずに明るく声をかけることも大切だと気づかされました。 子供たちの思い切りの良さや自由さにハッとさせられることがよくあります。
―入社前後で、テレビ業界に対するイメージは変わりましたか?
入社前は、番組を発注する側、例えばNHKのような放送局が中心となって番組制作を進め、制作会社は言われたことをこなすだけの、下請けのようなイメージを持っていました。 しかし実際には、制作会社側も番組に対して積極的にアイデアを出し、責任を持って番組制作に取り組んでいることを知りました。 視聴者の子供たちがどう感じるか、受け止め方への考慮、出演者対応、スタッフ間での連携など、全てを含めて制作会社での仕事は大変ですが、だからこそやりがいを感じます。
―就活中の学生に向けて、今伝えたいことはありますか?
どんな仕事をするにしても、たくさんの「引き出し」を持っていることが大切です。 いろいろなことに興味を持ち、面白いと思ったことは実際に試してみて、なぜ面白いのかを考える、ということを繰り返すことで、「引き出し」を増やすことができます。 特に、自分が好きな分野だけでなく、幅広いジャンルの番組を見て、分析してみることをお勧めします。 入社後、様々なことを学ぶ際に、多くの「引き出し」を持っていると、それらが必ず役に立ちます。
― 萩原さんが「引き出しを増やすため」にやっていることはありますか?
これまでは番組の本編だけを見ていましたが、最近は予告やCM、SNSで配信されている告知動画なども注意して見るようにしています。 これらの動画は、番組の面白さを、短い時間で伝えるための工夫が凝らされているので、そういったPRの動画を制作する時だけでなく、元の番組の面白さを研究するのにもきっと役立つと思います。
―なぜ、最近広告や予告編に興味を持つようになったのですか?
というのも先日、「おじゃる丸×光る君へ コラボ SP ヘイアンチョウまったりホリデイ」のPR動画をディレクターとして制作したんです。 アニメの見どころをピックアップし、視聴者が本編を見たくなるようにまとめる作業は、大変でしたが、完成した動画は、SNSで大きな反響があり、とても嬉しかったです。
―今後やってみたいことはありますか?
最近はスポットやWEBサイトで公開するクリップ動画や、番組のミニコーナーディレクターを担当させてもらえるようになりましたが、将来的には、もっと長い尺の番組や、5分以上のコーナーなども、任せてもらえるようになりたいです。 経験を積み重ねて、スキルアップを目指していきたいです。
―ありがとうございました!
2024年11月取材
