NHKのテキスト本と連携して放送される番組「すてきにハンドメイド」。今日はそのチーフディレクター古沢 将さんに、お話を伺いました。
―そもそも「すてきにハンドメイド」とはどんな番組ですか?
古沢:編み物や刺しゅう、工芸など「ハンドメイドの楽しさを紹介する」番組です。ちょっと普通の番組とは違う点があって、NHK出版から販売されているテキスト本と連動しているんです。番組ではその作品の作り方を紹介するだけでなく、とりあげるテーマに興味を持ってもらうために、作品の文化や背景なども紹介して魅力を伝えています。ゲストにも挑戦してもらって、ハンドメイドの楽しさを知ってもらうというのがコンセプトです。
―なるほど。他のテレビ番組との違いで大変な点はありますか?
古沢:そうですね、テキストが発売されるのが、番組の放送より先なので、準備のスタートが結構早いなぁっていう感じです。最初に出版チームと「今回はこのテーマにしましょう!」とテーマが確定して、それからそのテーマに沿って、監修の先生に何を作ってもらうか?などを決めていきます。出版チームが作りたいものと、番組でやりたいものがちょっと違ったりすることもあるので、そこをすり合わせていかなくてはいけないのが、少し大変かなというのは、正直あります。
―ディレクターとしてはどのように関わって行かれましたか?
古沢:ディレクターが番組つくるときって、大体勉強から入るじゃないですか。例えば、僕が「ハンドメイド」で最初に担当した「キルト」の回は、まず「キルトって何なのか?」っていうところから調べました。そしたら、その回の先生が実はキルト界でレジェンド級にすごい人だって知って。すごいハギレが大好きな先生で、話を聞いているときは「変わってるなぁ」とか思ったりもしたんですけど(笑)。でも、そのハギレを組み合わせて作ることがキルトの大事な柱だと知ったり、配色のコツとか、そういう話を聞きながら「へぇ〜」「おお〜」と新しい発見がありました。
そういった取材から、「キルトってこういうものだよ」「キルト作ると皆さんの生活が豊かになるよ」など、視聴者のみなさんに知らない情報を伝えて、提案していく…みたいな、ディレクターはそんな役割かなと思います。
―現在は、チーフディレクターとして関わられていますが、今までの「ディレクターとして」と、違いはありますか?
古沢:自分が担当回のディレクターだったらそのテーマを自分で一から調べるんですけど、チーフディレクターの場合は、まっさらな状態で各回のディレクターたちの構成を見る所から始まるので、「え、これって、どういうことなのかな?」とそこから改めて調べてディレクターとの打ち合わせに臨むことが多いです。あと、ディレクターたちは、一人ひとり経験数が違うので、上がってくるものも程度がバラバラで、それをうまく番組に合わせて、クオリティーを同じようにしていく…その品質管理が難しいですけど、でも、面白いですね。
―やっぱりチーフディレクターとディレクターは違うんですね。
古沢:違いますね。でもどっちも楽しいですよ。今はそれぞれのディレクターの考え方とかを直接聞けるので興味深いです。みんな曲げられないこだわりとか持っていて、面白いなと思います。「ディレクターとして、あ、そんな考え方持ってんだ」など、毎回発見がありますね。
―そんな古沢さんの目から見て、どんな人がディレクターに向いていると思いますか?
古沢:一番は「テレビが好きな人」ですね。よく「努力しろ」とか「いろんなものを勉強しろ」とか言われますけど、結局、好きじゃなかったら、あまり身にならないっていうか。好きだったらそれは多分、努力とかではなくて、単純に興味で知りたいとか、そういうふうになってくると思うんで。だから、やっぱりテレビが好きとか動画が好きとか、そういう人が多分、ディレクターに向いてるのかなって思いますね。
―ちなみに古沢さん自身は、テレビ制作に関わってどれぐらいになるんですか?
古沢:僕は今年で16年目です。
―なるほど。そもそも映像とかテレビが好きじゃないと十何年も続かなそうですね。
古沢:そうですね。ディレクターになると、結局毎度「勉強」から入るから。何かに興味持ってもらわないと、苦痛になっちゃうと思うんですよ。
でも、結局のところテレビが好きだったら、頑張りに繋がるっていうか。いや、それは「頑張り」ではないんですよね。単純に、ゲーム好きな人がゲーム上手くなるために毎日ゲームやったりとか攻略本読んだりとかっていうのと同じで。単純にテレビが好きだったら、別に努力ではなくて、ただ知りたいっていう感覚で、たぶん勝手に調べようっていうことになると思うんです。
―今後、古沢さんは、どんなことに挑戦していきたいですか?
古沢:今はチーフディレクターとして、若いディレクターを、なんて言ったら変だけど、押し上げてあげるっていうのが面白いなと思ってます。
22歳くらいに新卒で会社入って、25、6歳でディレクターになって、その後をあんまり考えないで過ごしてると、大体30歳手前ぐらいで、…なんて言えばいいのかな、自信がなくて行き詰まっちゃうことがあると思うんです。「自分って年齢の割にはあんまりできないな」って感じるとしたら、それは多分、20代をなんとなく過ごしてきてしまったからだと思います。なので20代をなんとなく過ごさず、何になりたいとか目標を持って日々生活すれば、大丈夫だと思います。そういうのを考えずになんとなくやってると、後で痛い目にあうんですね。
―最後に、このインタビューを読んでいるみなさんにメッセージをお願いします。
古沢:就活中の方に対しては、「遊んでほしい」と思います。就職しちゃったら遊ぶタイミングも、ほとんどなくなっちゃうので、もう、やりたいことをやり尽くしてから仕事すればいいかなっていう。
その遊んできた経験が生きるタイミングが必ずあるので、いろんなことに興味持ってもらえたらいいと思います。
会社にいる若い子たちには、まず目標を持ってもらえたらいいですね。「あの人みたいになりたい」とか。そうすれば必然的にその人のことを知りたいと思うはずなので。憧れているその人の近くに行って、仕事の取り組み方を見て、不要な部分を削ぎ落として自信をつけてもらえたらいいです。
社内だったら、「牧野さんと仕事したい」、「早川さんと仕事したい」でもいいですし。隣にいる身近な先輩でも。
せっかくいろんなタイプのディレクターやプロデューサーがいるので、いいとこ取りして自分に自信をつけてもらえたらと思います。
―ありがとうございました!
2024年10月取材