最近、よく耳にする「多様な働き方」。この「多様な働き方」が求められている背景には、少子高齢化が進み、労働人口が減少する日本の将来予測があげられます。出産や介護などで、これまでは職場にとどまることができなかった層や元気な高齢者に対しても、柔軟に働けるような環境を用意することが急がれる昨今。キュリアスプロダクションで取り組んでいる「多様な働き方」の一つとして、今回は、時短勤務中の2人のワーキングマザーに話を聞いてみました。
【矢ヶ部昭子】
■Profile:
佐賀県生まれ。2003年入社。広報番組AD、音楽番組APを経て、2011年~総務部へ。
現在CURIOUS PRODUCTIONSのプロダクションサポート部 兼 グループ会社のスーパー・ブレーンNEXヒューマンソリューション事業部のチーフマネージャー。
■産休・育休期間:
2013年1月 第一子誕生 息子1歳3か月2014年4月復帰
2017年11月 第二子誕生 娘1歳5か月2019年4月復帰
【渡邊佳恋】
■Profile:
京都府生まれ。報道記者・ディレクター等を経て、2018年中途入社。
現在、NHKキッズアプリの運用やSNS広報に携わる。
■産休・育休期間:
2020年2月 第一子誕生 娘2歳2か月2022年4月復帰
― 渡邊さんは、出産前はどんなお仕事を担当されていたのですか?
渡邊:NHK東京2020オリンピック・パラリンピックSNS運用と、NHK東京2020パラリンピックサイトの運用をしていました。
オリパラ開催“1年前”の激務と、つわりが同時期で毎日オエオエ吐きながら働いていました。
今思い出しただけでも吐けるくらい辛かった!辛すぎて自腹のタクシー通勤も何度か…。
でも、一緒に働く人たちがめちゃくちゃ頼もしくて、優しかったので乗り越えられました。
― 妊娠した時の周囲の反応はどうでしたか?
渡邊:妊娠を報告したとき、「おめでとう!うらやましい!」って言ってもらいました。
絶対これから迷惑かけることになるので、報告も億劫で、ドキドキしていたのですが。
喜んでもらえて、産休に入るまで体のことも気にかけてもらって、感謝ばかりです。
― 産休・育休を取ることについてはどう考えていましたか?
渡邊:産休・育休の制度もよく知らなかったし、妊娠できたら辞めることも考えていました。
でも「矢ヶ部さんの事例があるから」といわれたことで一筋の光が!笑
育休・産休について、制度や手続きでわからないことがあっても、その都度、社労士さんにご確認頂けたので安心できました。
育休中は…正直、このまま専業主婦になりたい!とか。具体的に思いついてないけど起業したい!フリーになりたい!とか。色々考えは巡りました。でも、保育園がなかなか決まらない中、復帰を待ってもらえるありがたい環境にいるのに、ここで辞めたら不義理だなと。復帰するにあたっても、在宅の希望を聞いて下さり、業務内容もご配慮して下さって、感謝しています。
育休中に会社にいったときは、娘は社長にバランスボールをぶつけて遊んでもらいました!(笑)矢ヶ部さんは、ホワイトボードにアンパンマンのキャラクターをたくさん描いてくださいましたね!みなさん温かく受け入れて下さって。恩を感じて、復帰して頑張ろうと思うようになりました。
― この春から復帰されて、まだ間もないですが、復帰してみてどうでしたか?
渡邊:「おかえり」「ひさしぶり」と言ってもらえてうれしかった。
時短勤務になって、みなさんへの申し訳なさと、感謝と、絶対に残業できないプレッシャーはあります。コロナ等で休園になることもあり、なかなか本格始動できないもどかしさもあります。
これから「思いっきり仕事したい!フルタイムで仕事したい!」と思うこともあるかもしれませんが。今はとにかく、仕事に慣れることに必死です…「ワーママは迷惑」と思われないように!
― 体調不良や、コロナで休園など、保育園に預けられないことも多々あると思いますが、トラブル対応はどのようにしていますか?
渡邊:育休中から“ファミリーサポート”にお世話になっていました。私も夫も両親が遠方に住んでいて、簡単には助けを呼べないので。ファミサポはワーママに限らず、全子育て家庭に推したい!娘はファミサポの担当さんが大好きなので、何もなくても週に1度、保育園のお迎えをお願いしています。出張や残業がある日に、ファミサポを利用しているご家庭もあります。ただ、私の地域では、コロナで休園の場合には、家族が元気でもファミサポは使えません。個人的に契約して来てもらうか、自分が仕事のお休みをいただくしかないです。可能であれば両親を呼びつけるか、夫に交代でお休みしてもらう。助けがないときは、テレビに育児を任せつつ、お昼寝中に全集中で仕事!です。
※ファミリーサポート制度…自治体が主体となって運営している、子育て支援の取り組み。利用可能なサービスの内容や料金は各自治体によって異なります。
― では、矢ヶ部さんが最初の産休・育休をとられた2012年当時、ほかに産休・育休をとられていた方はいましたか?
矢ヶ部:私の1つ上の先輩が、産休・育休を経て仕事復帰されていました。先輩がいたことで、育休を取ることにそんなに不安はなく、上司にも相談しやすい雰囲気でした。
― 産休・育休に入る前はどんなことを思っていましたか?
矢ヶ部:1人目のときは、初めての出産で不安だらけで・・・産休・育休前は、復帰したあとの仕事のことを考えることもあったと思いますが、それよりも、まず、無事に出産できるかどうかということを一番に考えていたように思います。
2人目のときは、上の子に手がかかっていたので、毎日の仕事と家事と育児でいっぱいいっぱいなのに、子供がさらに増えて、自分はやっていけるだろうか…という漠然とした不安を抱えていたように思います。
― 育休についてはサポートや配慮はありましたか?会社の雰囲気はどうでしたか?
矢ヶ部:1つ上の先輩の実績もあり、希望すれば、育休を取ることができるという雰囲気はありました。その先輩より上の世代の先輩たちは、結婚と同時に退社される人がほとんどだったので。
今、自分がこうして働いていられるのは、育休を取って復帰された先輩のおかげだと思っています。
― フルタイムで働きたいと思うことはありますか?
矢ヶ部:息子が3歳になった4月から次の産休に入るまでは9:00‐18:00のフルタイム勤務でした。フルタイムだと、朝8時前に保育園に預けて、19時頃迎えに行く、19時半頃帰宅して、そこから夕飯作り、夕飯、お風呂、寝かしつけ、家事、とかなりハードでした。
第二子を出産して、復帰後の今は、10:00-16:00の時短勤務をさせてもらっています。仕事は好きなので、時短勤務だと時間が足りないとか、フルタイムで働きたいと思うことは多々ありますが、今は子供の生活を一番に考えて、仕事の方を調整させてもらっています。
― 育休をとったことで後輩に追い抜かれたり…マミートラックを感じることはありますか?
矢ヶ部:今は、時短勤務ながら管理職という立場を任せてもらっているということもあり、マミートラックを感じることは、特にありません。同じ会社でも業務内容は人それぞれ、多岐に渡っているので、後輩の成長を目の当たりにすると、すごいなぁと思うことは多々ありますが、自分のキャリアとは違うので比較して落ち込むということはないです。時短勤務でも、きちんと仕事をしていれば、ちゃんとその頑張りを上司は見てくれていますし、頑張った分はちゃんと評価してくれます。
― 今後の仕事や、キャリアについて考えることはありますか?
矢ヶ部:今後の仕事やキャリアについて、育休から復帰した際に、表を作りました。自分が〇歳のときは、子供は〇と〇歳、勤務時間は時短にするのかフルタイムにするのか、その時は、自分はこういう仕事をしていたいなというような、人生設計のような表を作って、時々見返しては、修正しています。
― 人生設計、とても大事なことですね!

【質問コーナー】
新入社員の女性のみなさんからの素朴な疑問にお答えします。
Q.お母さんは一体いつ休んでる?!風邪をひかないのはなぜ?
矢ヶ部:子供が寝ているときに一緒に寝て休んでいますよ。あとは、移動時間とか、お昼休みとか。風邪をひかない⁉ということに関しては、もしかしたら、お母さんが風邪をひいていても気づいてないだけでは⁉とも思うのですが、風邪をひかない元気なお母さんもいますよね。私は、残念ながら、結構風邪をひきます。子供からうつされる場合も多いですが…。
ただ、風邪をひいても母は休めない!!ご飯を作ったり、子供が小さければ、自分の熱が高くてもお風呂に入れてあげたり、絵本を読んであげたり…そういうこともあって、休んでいないから、お母さんに元気なイメージを持っているのかもしれないですね。
渡邊:子どもと一緒に寝て、一緒に起きます。夜行性だった私も早寝早起きになりました。
娘は保育園に行きだしてから、常に鼻水出しているような状態で…。咳と鼻水を一晩中浴びて、私も常に風邪気味…ですが!娘も私も基礎体力があるのか?熱が出るような風邪はひかないです。あと、このご時世なので、面倒でも早めの受診を心がけています。
Q.一番大変なことはなんですか?
矢ヶ部:仕事は、自分が頑張れば、自分の思い通りに何でもできるけど、子供は自分の思い通りにはいかない、ということが一番大変。なかなか泣き止まない、ミルクを飲まない、食べない、歩かない、夜なのに寝ない、ほかにも、病気になって熱が何日も下がらないときは、本当に心配で不安で仕方がない等々。こちらが泣きたくなることが沢山あります。でも、そういうことを通して、人として、成長させてもらっているなと日々感じています。
渡邊:仕事に全集中できないのが大変というか…歯がゆい感じです。とにかく寝ているとき以外、ずっと眠たい!夜泣きで何度も起こされると、昨日がいつまでで、今日はいつからはじまったのか…?ブツ切れの睡眠で朝を迎えると絶望的な気分になります。時間、体力、考える元気を吸い取られて、残った力を振り絞って仕事をしている感じです。
Q.仕事と家事の切り替えはできますか?
矢ヶ部:仕事も家事も育児も、全部仕事という感覚です。種類の違う仕事を掛け持ちしているようなイメージと言ったら分かりやすいでしょうか。なので、ある程度切り替えはしていると思いますが、子供が寝て、家事が終わるまでは、ずっと仕事をしているという感覚です。
会社の仕事が大変な時は、家事・育児の仕事の方に影響があることもしばしば。ご飯を作っているちょっとした合間、レンジの温め待ち中に、メールチェックをしたり、返事を書いたり。お風呂にお湯をためている間に仕事をしたり、どうしても急いでメールの返事を書かなくてはいけなくて、子供の寝る時間が遅くなってしまったりしたこともありました。
渡邊:妊娠中の繁忙期は、仕事もある、体はしんどい、頭回らない…生活ぐちゃぐちゃでした。育休復帰の際に業務内容を見直してもらい、時短・在宅勤務にしてもらってからは、家事もある程度できていると思います。在宅だと特にそうですが、仕事していても家のこと気になります。でも、就業時間内はとにかく仕事!と意識して、休憩のとき掃除したりしています。掃除も洗濯も好きなので(料理は嫌い)気分転換になっています。
Q.子供がいると夜遅くまで残業できないと思いますが、その分の仕事はどうやって調整していますか?(私自身が任された仕事を長々とやってしまうため。)
矢ヶ部:ごく稀に大量の仕事の依頼がきたりして、どうしても仕事が終わらない場合は、土・日とか、子供が寝た後に仕事をしていたこともありましたが、基本的には、時短勤務でできる量の仕事しか割り当てないように会社が調整してくれます。
渡邊:いまは時短勤務でも回る仕事量になっているので、深夜まで残業ということは無いです。
ただ、「あと10分あれば、この仕事終わるのにー!」とかは、よくあります。が!定時で切り上げます。“17時以降は仕事しない人“のキャラ設定をしているので!自分に課している部分もありますが、現実的に保育園のお迎え時間があるので。次の日で間に合うなら、今日はおしまい。正直、めちゃくちゃ切り悪いし、気になるし、気持ち悪いですけどね。
Q.家庭と仕事とのバランスはとれていると感じますか?
矢ヶ部:正直なところ分かりません。どちらも、もちろん全力は出していますが、もうちょっと時間があれば、こんな仕事もできるのにとか、もうちょっと時間があれば、いろんな家事もできるのにとか、24時間では時間が足りないと思ってしまうというのが現状です。とはいえ、どちらかと言えば、バランスはとれていると思います。
渡邊:私は仕事もしたいけど、子供との時間も欲しいので、仕事を時短にしてもらっています。家事は便利家電、買い出しは宅配サービスに頼っています。あとファミサポさん!今はこれでバランス調整中です。人それぞれ最適なバランスって違うし、子どもの年齢や気質によっても変わる。私は毎日通勤のフルタイムに変わると、このままでは辛いかな。例えば、フルタイムで仕事をしたいから、子育てや家事をシッターさんや家事代行にお願いしてバランスをとる人もいます。仕事も家事育児も全部自分で出来て、バランス取れる人もいます。(ごく稀に!)会社や保育園の近くに引っ越すという選択もある。気持ちと状況が変わったら、どうすれば持続可能な生活が送れるのか作戦を練り直します。
Q.そのために会社に求めることは?(実際にそれは叶えられている?)
矢ヶ部:会社にではなくて、社会全体に求めることは、やはり、長時間労働の呪縛からの解放・・・というと少々大げさですが、なんとなく時短勤務をしていると、負い目を感じます。番組制作会社ということもあり、私は長い時間働くことについてはなんの抵抗もなかったのですが、16時で帰宅する今は、「もう帰るの、いいなぁ・・・」という同僚の心の声が聞こえてくるような、負の妄想をしてしまうことも多々あります。
会社に求めることは時短勤務で働かせてもらうということなので、それは十分叶えてもらっていると思います。会社には感謝しかありません。会社に求めることを強いて挙げるならば、男女関係なく、時短勤務をしたい人はすることができて、仕事のしわ寄せが他の人にいくことがないような仕組みづくり、環境が整うといいかなと思います。
渡邊:会社には時短勤務と、在宅勤務のお願いを叶えてもらっています。「子供が生まれたけど、育休もとらないし、フルタイムですぐ復帰した。」って聞くと「え!?」って思うけれど、お父さんは大体そうですよね。世のお父さんお母さん、忙しすぎませんか!?私の周りは、ワンオペママの人口がすごく多い。ワーパパのやる気とスキルの問題は別として…お父さんが仕事で不在ということは、その分の家事育児の負担はお母さんにいきがちです。“家事育児”といっても、例えば「夕食」と「お風呂」の間に、「子どもにまとわりつかれながら、散乱した食べカスを片付ける」「ご機嫌をとりながらお風呂に誘導する」というミッションがある。各家庭に見えない部分に大変さがあったりします。だからお父さんも…いや、誰でも!本人が望めば、時短勤務ができたり、ワークライフバランスを主張できたりする環境が整えばいいなと思います。
Q.リモートでの勤務も積極的に活用できるのでしょうか?
矢ヶ部:業務によるとは思いますが、これから出産を経て仕事に復帰する方が、リモート勤務を希望するならば、会社としては、なるべくリモート勤務ができるように環境を整えてあげるということが、会社としての優秀な人材の確保にもつながるし、労働力の確保につながっていくのではないかと思います。色んな環境の人が働きやすいと思える会社にしていかなければならないと思っています。
渡邊:コロナ対策もあって、ワーママうんぬん関係なく、週に数回リモート勤務をしている人はたくさんいます。妊婦の通勤は覚悟していたより500倍くらい辛いですし、(個人の感想です。)ケガや病気で、通勤ができなくなる可能性は誰にでもありますもんね。担当業務にもよりますが、今は会議もリモート参加ができますし、数年前より“出勤せねばならぬ”雰囲気は感じないです。
Q.育休前の仕事と今の仕事内容でのギャップでいいことや葛藤などありますか?
矢ヶ部:子供がいなかったときは、遅くまで、納得がいくまで好きな仕事ができたけれど、今はそうはいかないという点で、葛藤はあると思います。面白そうな仕事!やってみたい!と思っても、残業はできないから難しいか・・・とあきらめざるを得なことも。20代の身軽なうちにやりたい仕事は何でも挑戦することがお勧めです!でも、育児をしていることで学ぶこともたくさんあり、それが仕事に活かされているなと感じることもありますよ。
渡邊:以前は外部の人とお仕事をすることが多かったですが、今は社内のやりとりで完結する仕事が多いです。名刺が全然減りません。(笑)突然の休園や、体調不良でお休みすることがあると、外部には迷惑をかけなくても、同僚や上司には迷惑をかけることになるので。どっちみち、個人的には心が痛みます。
Q.お子さんと一緒に過ごす時間は十分にとれていると感じますか!
矢ヶ部:専業主婦の方に比べたら、子供と過ごす時間は短いと思うけれど、保育園はたくさん体も動かせるし、家ではできない経験もさせてもらえるから、それはそれでありがたいと思っています。子供と離れて仕事をすることで、その分、子供にやさしくできることも沢山あると思うし、ずっとママと一緒だったら、子供も嫌かもしれない(笑)と考えると、それなりに、子供との時間はとれているのかなとは思います。
渡邊:平日はもう少し時間が欲しいなと思うこともありますが、土日は、後悔も反省もないくらいに全力で一緒に過ごせています。平日の昼間に街中で親子を見ると「一緒に過ごせていいな~うらやましいなぁ」と思います。でも、娘と離れて「やったー!身軽だー!」って思うときもある…勝手なものですね。すみません。
皆さん、参考になりましたか!?
最後にお2人の一日のタイムスケジュールを紹介します。
